39才と道
線路の下をくぐり、道なりに進むと緩やかなくだりとなる。重力に背中を押されるように進み、突き当たると海沿いの道にでる。ここは僕の大好きな道の一つだ。 右手に大阪湾が広がり、潮の臭いを感じながら走る。道幅は普通自動車がすれ違うのに苦労する程度だが、ジョギングをするには快適だ。たまに、磯のおこぼれを狙っているのか、ノラ猫に出会えることもある。そのだいたいは目ヤニが出ていたり、やせていたりする。なんとなく悲しい気持ちになってみたりもするが、彼らはその生活を楽しんでいるようで、僕が横を通っても、一向に気にすることもなく、日向ぼっこをしている。のんびりしていて、全くうらやましい。 天気がいい日に、この道を走っていると大阪湾の向こうには淡路島がみえる。また、正面のはるかかなたに、くっきりと山の稜線が見えている。 僕は子供の時から、妄想が好きだ。といっても、変なことを想像するわけではない。もちろん、しないわけでもないが、ここでの話は、ちょっと違う。例えば、電車や車の窓から見えた家や人の生活を、想像するのだ。しかも結構リアルに。 小学生だった僕は、その景色の中にい